「幕末のジャンヌ・ダルク」・山本八重の代名詞スペンサー銃
5八重の代名詞・スペンサー銃は、兄からの贈り物
スペンサー銃は十九世紀の中頃、アメリカの南北戦争より使われ始めた。世界初の後装式連発銃であり、戊辰戦争では「元込七連発銃」として、大いにその性能を発揮した。
スペンサー銃には歩兵銃と騎兵銃があり、歩兵銃の方は、戊辰戦争に際して、主に幕府歩兵隊や佐賀藩、それに薩摩藩などが使用していたという。
この元込め式の七連発スペンサー銃は、今や八重の代名詞ともなっているが、なぜ、このような高価な最新式の銃を、八重が持っていたのだろう。
実は、戊辰戦争の時に八重が所持していたスペンサー銃は、大政奉還の前年、慶応二(1866)年に、長崎にいた兄・山本覚馬から、八重宛に送られてきたものだった。
覚馬は、会津の地にも戦争が迫っていることを察知していたのかもしれない。