「炭」を継いで
永井炭成館の店主、永井陽一郎さんは
先代である父から店を継ぎ、今は四代目にあたる。
若い自分は何をすべきなのか。
自問のすえに、至ったのは、「会津の炭」の再興だった。
陽一郎さんの家系は創業以来ずっと、炭一筋だった。
しかし、ガスや石炭、石油の台頭とともに、
炭の取り扱いは減少の一途をたどった。
更に廉価な外国産の炭が輸入され、
高価な会津の炭は風前の灯火となる。
国産の炭は質が良い。
輸入の炭と比べて火力が強い、異臭も少ない。
その中でも会津の炭は更に上質だ。
会津に多いナラやクヌギの木からは、
多くの料理人を魅了する、良質な炭ができあがる。
地元の伝統が、会津の炭が廃れていくのを
陽一郎さんは放っておけなかった。
―若い後継者として、もう一度会津の炭を元気にしたい。
地元の生産者から仕入れた良い炭を、世に送り出す。
陽一郎さんは「会津の炭」の再興を目指す。
くすぶる炭に空気を吹き込むように、
永井炭成館は「会津の炭」に新しい風を起こそうとする。
赤く一点、陽一郎さんの心に決意という名の“火”が灯った。