芸妓文化の伝承者
「八重牡丹」まり若、快活に学ぶ
左の指先で着物の褄を取りながら、右手に持つ扇子を、柔らかく、ひらりひらり。
「会津東山芸妓」の、置屋のひとつ、「八重牡丹」に籍を置く、芸妓・まり若さんの、お座敷での踊りを見る。
芸妓文化の伝承者としての、その凛と洗練された、舞いの美しさ。
一方で、その生来の明るく快活なお人柄も、ふわりと、やさしく匂い立つ。
まり若さんが、芸妓をはじめた、きっかけは―、
妹さんが、まず、この芸妓の扉を叩き、そして、その晴れの姿を目にした時に、瞬間的に、憬れて。
その憬れひとつで、この世界に入り、そして今、お座敷での多くの出逢いを、愉しんでいる。
人に触れ、芸に触れ、学びに満ちた、この環境がありがたくて、
そう言って笑う、まり若さんの笑顔は、清々しい。文化に生かされ、文化を生かし―。