用即美
日用の中に、美を添えて
会津盆地の南東に位置し、会津若松の市街ともほど近い、慶山の地。
適度に粘り気があり、可塑性(かそせい)も高い、良質な粘土を産出するこの山は、まさに、作陶するに適した土地。
土地の恵みを活かしつつ、日常使いの器を焼き続ける―、
その「会津慶山焼」の“思想”は、気持ちの良いほど、一貫している。
―「用即美」。
虚飾(きょしょく)を削ぎ落とし、日用の中の美を、無心に求む。
轆轤(ろくろ)、手捻(てびね)り、欅(けやき)の灰釉(かいゆう)、と、伝統の技法を一徹(いってつ)に守り続ける「慶山焼」。
無闇に主張しすぎることなく、あくまでも黒子として、日常にささやかな美を、添える。
土は素朴に香り、発色はどこまでも、天然自然。その“在り方”は、慎ましやかにして、凛然(りんぜん)と―。