祭りの合間に、ひとやすみ
行列の衆らに倣(なら)って、ちょっと休憩と洒落こもう。
どうせなら、この土地の味覚も堪能しておきたい。
時代と趣を感じる茅葺きの民家の内からひとつを選び、
そのお店にて頼んだのは、大内宿名物「高遠そば」。
長ねぎ一本がそばに突き刺さり、その様には実に驚かされる。
添えられた棒ねぎで、そばを掬(すく)って、つるりと一口。
生の葱はつんと辛く、つゆとそばとも良く合って、
鼻にも胃にも、その刺激は心地好く沁み渡る。
そばを啜(すす)っている間にも、お囃子の音は聞こえてくる。
神妙なのに、どこかおどけた笛の音、
そして、威勢の良い太鼓の響き。
それは遠くから流れてきて、
―ああ、近くなった、と思ったら、
そうして、すぐまた遠ざかる。
そばの他にも、もう一品、どうだろう。
会津の郷土料理「こづゆ」は、やさしいお味に具だくさん、
天然の岩魚(イワナ)も、捨てがたい!
おっといけない。
あまり欲張っては、祭りに置いて行かれてしまうかもしれない。
だけど、この土地に根差した味覚は、実に実に、魅惑的―。