「想い」を伝える場所
鶴ヶ城の北東、飯盛山の麓にひっそりと佇む、
茅葺屋根の入母屋(いりもや)造り、
延宝六(一六七八)年に建てられた古民家。
―旧滝沢本陣 横山家住宅。
参勤交代の折には、休息所として時の藩主がゆるりと憩い、
また、戊辰の戦では、ここに大本営が置かれた。
そうして、この民家から、
白虎隊の出陣命令が下されて―。
平時における歴代藩主の営みの余情と、
戦時の記憶を留める生々しい戦火の傷痕が、
この古民家を訪れた者に、語りかける。
長い旅路を前にひと時の安らぎを得た、藩主の「想い」、
若き命をいくさ場に散らした、少年たちの「想い」、
それらを今に伝え続ける、語り部たちの「想い」、
そして、その“物語り”を受け継ぐ、次代の「想い」。
静かに、しかし、
確固とした強さで語りかけられる、
さまざまな「想い」たち。
そんな、時を越えた「想い」の数々をつなげる、
「旧滝沢本陣」の物語り。