お秀茶屋
photo by Nipponia Nippon

会津若松は東山街道沿いにある、
“奴郎ヶ前(やろうがまえ)の田楽”の老舗、

―「お秀茶屋」。


その昔、旧藩時代のこと。

奴郎ヶ前の奥地は、
藩の処刑場になっていた。


そこへ引かれていく、罪人たち―、


茶屋のお秀ばあさんは、
そのようすを眺め、大いに気の毒に思った。

そうして、せめてもと、
焼き餅に味噌をつけて、与えてやった。


末期に沁みる、味噌の味。

それが、
“奴郎ヶ前の田楽”の、
はじまりと伝えられている。


その由緒ある味を、
今の世で楽しめる、よろこび―。


※このお写真は、昨年の秋に撮影したものです。